「CAD/CAM冠の耐用年数がどれくらいか知りたい」「CAD/CAM冠の寿命を縮める原因が知りたい」「CAD/CAM冠とほかの素材を比較して納得のいく治療をしたい」と思っていませんか?
CAD/CAM冠の耐用年数は、「約5〜7年」です。ただし、保険適用のCAD/CAM材料による耐久性の限界もあるため、長持ちさせるポイントを知り、口腔内の健康を保つ必要もあります。
また、CAD/CAM冠の耐用年数や長持ちさせるポイントまで紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。
CAD/CAM冠の平均的な耐用年数
CAD/CAM冠の平均的な耐用年数は、「約5〜7年」です。天然歯の色に近い硬質プラスチックにセラミックの微細粒を混ぜた材料で製作されており、耐久性はやや劣ります。
また、長時間使用すると材料自体が摩耗、変色する場合があり、変色年数は「2〜5年」とされています。
CAD/CAM冠とは
CAD/CAM冠について、特徴を紹介します。
-
- どんな被せ物なのか
- CAD/CAM冠の保険が適用される範囲
それぞれ解説します。
どんな被せ物なのか
CAD/CAM冠は、セラミックとレジンを組み合わせたハイブリッドレジン素材で作られる白い被せ物です。コンピューター支援設計・製造(CAD/CAM)技術により、精密な製作が可能であり、保険適用で治療費を抑えられます。
金属を使用していないため、金属アレルギーのリスクがありません。また、自然な色調と質感を再現でき、審美性に優れています。
CAD/CAM冠の保険が適用される範囲
2024年6月の診療報酬改定により、CAD/CAM冠の保険適用範囲が拡大されました。
-
- 第一大臼歯への適用:上下左右の第二大臼歯がすべて残存している場合
- 第二大臼歯への適用:金属アレルギーの診断を受けた方
- 第三大臼歯(親知らず)への適用:被せ物を入れる歯の反対側に咬合支持がある、もしくは噛み合わせのバランスが良好で、手前の歯まで咬合が確保されている
基本的に「前歯(1〜3番)、小臼歯(4・5番)、大臼歯(6〜8番)」に保険が適用されますが、大臼歯は条件付きとなります。
CAD/CAM冠の保険適用範囲については以下の記事でさらに詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
関連記事:CAD/CAM冠は保険が適用される?メリット・デメリットについて解説
CAD/CAM冠のメリット・デメリット
CAD/CAM冠のメリットは以下のとおりです。
-
- ほかの保険診療と比較して審美性が高い
- 虫歯再発リスクを抑えられる
- 保険適用のため治療費を抑えられる
- 金属アレルギーのリスクがない
- 噛み合わせへの影響が少ない
- 治療期間が短い
続いて、CAD/CAM冠のデメリットは以下のとおりです。
-
- 歯の汚れや色がつきやすい
- 耐久性が低いため割れやすい
- 歯を削る量が多い
- 摩耗しやすい・外れやすい
CAD/CAM冠はデメリットもありますが、審美性が高いことや虫歯リスクの低減といったメリットも豊富にあるのが特徴です。
CAD/CAM冠のメリット・デメリットについては以下の記事でさらに詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
関連記事:CAD/CAM冠のデメリットは?CAD/CAM冠で後悔しないための注意点も解説
CAD/CAM冠とほかのクラウンとの違い【比較表】
CAD/CAM冠とほかのクラウンとの違いを比較表にまとめました。
ホワイトニングが必要です。
治療法 | CAD/CAM冠 | ジルコニアクラウン | メタルクラウン(銀歯) | オールセラミッククラウン |
---|---|---|---|---|
素材 | ハイブリッドレジン(樹脂+セラミック) | ジルコニア(酸化ジルコニウム) | 金銀パラジウム合金など金属系 | セラミック100%(陶材) |
見た目の自然さ | やや自然 | 自然 | 不自然(銀色) | 自然 |
耐久性 | 中程度(約5〜7年) | 高い(10年以上) | 非常に高い | 高い(10年程度) |
変色のしにくさ | やや変色しやすい | 変色しにくい | 変色しない | 変色しない |
金属アレルギー | なし | なし | あり | なし |
保険適用 | 条件付きで可能 | 不可(自由診療) | 可能 | 不可(自由診療) |
費用感(目安) | 保険適用なら1万円前後 | 自由診療で5万〜15万円 | 保険適用で数千円〜1万円 | 自由診療で7万〜15万円 |
それぞれの特徴や費用について正しく理解し、どの治療法がご自身に合っているか確認してみてください。
CAD/CAM冠の寿命を縮める原因
CAD/CAM冠の寿命を縮める原因は、以下の5つです。
-
- CAD/CAM冠の素材の耐久性が低い
- 歯科医師の技術不足によって装着に不備があった
- 噛み合わせのズレや噛み締めのくせがある
- 設計ミスや製作誤差がある状態で使用している
- 日常のケアやメインテナンスが不足している
ひとつずつ解説します。
CAD/CAM冠の素材の耐久性が低い
保険適用のCAD/CAM冠は、使用材料の特性により耐久性に限界があります。主にレジンを使用しているため、強度や耐久性が劣り、摩耗や変色、破損のリスクが高いです。
奥歯などの強い咬合力がかかる部位では、割れやすく、被せ物が外れやすい特徴があります。保険適用のCAD/CAM冠を選択する際は、使用部位や材料の特性を考慮し、歯科医師と相談するのが重要です。
歯科医師の技術不足によって装着に不備があった
CAD/CAM冠の寿命を縮める要因には、歯科医師の装着技術やセメントの取り扱いの問題があります。CAD/CAM冠は、適切な接着処理がおこなわれないと、冠の脱離や破損する場合もあります。
主に「接着性レジンセメントの使用」「アルミナサンドブラスト処理」「シラン処理」などの手順が適切におこなわれない場合、冠の脱離率が高まる可能性もあるため注意が必要です。
噛み合わせのズレや噛み締めのくせがある
噛み合わせのズレや噛み締めのくせがある場合、CAD/CAM冠の寿命を縮める要因となります。咬合調整が適切ではない場合、過度な咬合力が冠に加わり、歪みや破損のリスクも高いです。
CAD/CAM冠の寿命を延ばすためには、噛み合わせのズレや噛み締めのクセを適切に管理するのが重要です。
設計ミスや製作誤差がある状態で使用している
CAD/CAMクラウンの設計ミスや製作過程でのミスは、装着時にズレが生じ、寿命の短縮につながります。
デジタル設計により精度の高いクラウン製作が可能ですが、設計ミスがそのまま製品に反映されるリスクもあります。
日常のケアやメインテナンスが不足している
CAD/CAM冠は、セラミックと比較して耐久性が低く、日常のセルフケアやメインテナンス不足が原因で割れてしまう場合もあります。適切なセルフケアや定期的なメンテナンスを怠ると、CAD/CAM冠の表面が汚れやすくなり、変色や耐久性の低下を招きやすいです。
CAD/CAM冠の寿命を延ばすためには、日常のセルフケアを徹底し、定期的に歯科医院でメインテナンスを受けるのが重要です。
CAD/CAM冠を長持ちさせるポイント
CAD/CAM冠を長持ちさせるポイントは、以下の5つです。
-
- 定期的な歯科検診を受ける
- 正しいブラッシングとデンタルフロスをおこなう
- 硬い食べ物を避ける
- 着色性の高い飲食物を控える
- 口内を潤す
それぞれ解説します。
定期的な歯科検診を受ける
定期的な歯科検診により、CAD/CAM冠を長持ちさせられます。CAD/CAM冠の寿命に影響する虫歯や歯周病などの問題を早期に発見し、治療が可能です。
毎日の歯磨きでは取りきれない歯垢や歯石は、蓄積されるため、定期的なプロのクリーニングが重要です。
正しいブラッシングとデンタルフロスをおこなう
CAD/CAM冠を長持ちさせるには、正しいブラッシングとデンタルフロスをおこなうのが重要です。歯と歯の間や奥歯の噛み合わせ、歯と歯ぐきの境目などは、歯垢がつきやすい場所となります。
歯ブラシは毛先を届かせるように意識し、歯磨きをおこないましょう。また、デンタルフロスは歯と歯が密接している部分に効果的で、歯間のプラークや食べ物のカスを取り除けます。
硬い食べ物を避ける
CAD/CAM冠を長持ちさせるためには、硬い食べ物を避け、口の中に負担がかからないように心がけましょう。
CAD/CAM冠は、主にレジンというやわらかい素材が使われています。そのため、堅いおせんべいや飴、氷などを噛み砕くのを控えることで、CAD/CAM冠を長持ちさせられます。
着色性の高い飲食物を控える
CAD/CAM冠の審美性を保つためには、着色性の高い飲食物を控えましょう。飲食物の色素やタバコの煙などの外的要因によって、レジンの表面に着色が生じます。
たとえば、コーヒーや紅茶、カレーなどの色の濃い飲食物は、レジンの変色を促進させるためできる限り控えるのがおすすめです。
口内を潤す
CAD/CAM冠を長持ちさせるためには、口内を潤すことが重要です。唾液には浄化作用や殺菌作用、表面の保護作用があります。
口腔内が乾燥すると細菌の繁殖が進みやすくなるため、口腔内の健康を維持するには、口内を潤すようにしましょう。
まとめ
CAD/CAM冠の耐用年数は、「約5〜7年」です。ただし、保険適用のCAD/CAM材料による耐久性の限界や歯科医師の装着技術の不足、噛み合わせのズレや噛み締めのクセによって寿命が短くなる場合もあるため、定期的なケアやメインテナンスが必要となります。
当院では、丁寧なカウンセリングで一人ひとりに合わせた審美治療をご提供しています。「歯を白くしたい」「被せ物や詰め物を相談したい」などお考えの方は、ぜひ中葛西歯科までお気軽にご相談ください。