「銀歯を外すことで歯に悪影響があるのか知りたい」
「銀歯の代わりにどのような素材に変えるべきか検討したい」
「銀歯を外すときに痛みやトラブルが起きるのか不安」
銀歯を外したいと考える方のなかには、上記のようなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
銀歯を外す治療で、歯をさらに削る、痛みや知覚過敏が出るなどのリスクがあります。この記事では銀歯を外す際のリスクや、銀歯を放置するリスクを解説しています。
銀歯以外の被せ物・詰め物、歯の審美性を損なわない治療法もご紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。
銀歯を外す行為そのものにリスクはない
経年劣化した銀歯を外す行為そのものは、銀歯を放置するリスクに比べて危険性は低いです。むしろ、経年劣化した銀歯を放置するほうがさまざまなリスクがあります。
保険適用の銀歯は約5〜7年が寿命の目安とされ、経年劣化によって被せ物や詰め物と歯の間に隙間ができると、虫歯が再発する恐れがあります。また、金属が溶け出し、金属アレルギーの原因になる可能性も。
銀歯を外したい方は、まず歯科医師へご相談ください。
銀歯を外す治療で生じ得る4つのリスク
銀歯を外す治療は一般的にはリスクが低いとされていますが、以下4つの問題が生じる可能性があります。
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- 健康な歯をさらに削る
- 痛みや知覚過敏が出る
- 除去時に水銀蒸気を吸い込む
- 交換した詰め物が破損する
1つずつ解説します。
健康な歯をさらに削る
銀歯を外すときは、詰め物と一緒に健康な歯の一部も削る場合があります。とくに銀歯の下で虫歯が進行していると、虫歯部分の除去も必要です。結果、歯を削る範囲が広がります。
歯は一度削ると再生できず、脆くなるリスクがあります。
歯科医師から歯を削る範囲や影響を、丁寧な説明を受けておくと安心です。
痛みや知覚過敏が出る
銀歯の除去後には、一時的に痛みや知覚過敏が出る場合があります。治療の際、削るときの振動や熱が歯の神経を刺激するためです。多くは数日でおさまりますが、症状が長く続くケースもあります。その場合は、神経の治療が必要になる可能性もあります。
治療後に違和感が残るときは、必ず歯科医師へご相談ください。
除去時に水銀蒸気を吸い込む
銀歯の材料にはアマルガムといった水銀が含まれ、除去時に水銀蒸気を吸い込むリスクがあります。ドリルで削る際の摩擦熱で水銀が気化するため、治療中の対策が重要です。
銀歯を外す際は、ラバーダムや口腔外バキュームなど、安全に治療を受けられる設備がある歯科医院を選びましょう。
交換した詰め物が破損する
銀歯を外したあとに入れた詰め物は、強い力がかかると将来的に割れたり欠けたりするリスクがあります。とくに、削る量が多かった歯は弱くなっている場合があります。
治療の精度だけでなく、定期的なメンテナンスをおこない、健康な歯を保ちましょう。
劣化した銀歯を放置する5つのリスク
劣化した銀歯を放置するリスクは、以下の5つです。
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- 虫歯や歯周病を誘発する
- 口臭を引き起こす
- 金属アレルギーを引き起こす
- 歯や歯茎が黒く変色する(メタルタトゥー)
- アマルガム(水銀)の健康への懸念がある
それぞれ解説します。
虫歯や歯周病を誘発する
古くなった銀歯は、歯との隙間に細菌が入りやすく、虫歯や歯周病を誘発するリスクがあります。見えない部分で再発した虫歯は、発見が遅れやすいため注意が必要です。また、銀歯と歯の境目にたまったプラークで細菌が増殖し、歯茎が炎症を起こすリスクもあります。
虫歯や歯周病を防ぐために、銀歯の劣化に気づいた時点で、早めに歯科医師へ相談しましょう。
口臭を引き起こす
劣化した銀歯は、口臭の原因になる場合があります。隙間にたまった食べかすやプラークが、細菌によって分解されると、臭いの強いガスが発生するためです。この汚れは、通常の歯磨きでは取り除きにくく、口臭が慢性化する恐れがあります。
自分では気づきにくいため、気になる場合は歯科医院でチェックを受けるのがおすすめです。
金属アレルギーを引き起こす
銀歯に使われる金属が体に取り込まれると、金属アレルギーを引き起こす場合があります。このアレルギーは時間がたってから症状が出る「遅延型アレルギー」で、手のひらや足の湿疹など、一見関係なさそうな場所に現れる場合もあります。
原因不明の肌トラブルが続いている場合は、金属アレルギーの検査や、金属を使わない素材への交換を検討しましょう。
歯や歯茎が黒く変色する(メタルタトゥー)
銀歯の金属成分が歯茎に沈着すると、黒く変色する「メタルタトゥー」が起きる場合があります。一度黒ずむと元の色に戻すのが難しく、見た目に悪影響を与えかねません。
歯の内部まで変色が広がる場合もあるため、見た目が気になる方は、セラミック素材への交換がおすすめです。
アマルガム(水銀)の健康への懸念がある
以前、使われていた銀歯には、アマルガムといった水銀が約50%含まれており、健康への影響を心配する声もあります。日本では2016年以降、保険診療で使われなくなりましたが、過去に治療を受けた方は、水銀が含まれる銀歯が口腔内に残っている可能性があります。
水銀は少しずつ気化し、体に入るとされるため、不安を感じる方は、歯科医師と相談しながら安全な素材へ交換するのがおすすめです。
銀歯を外して白くする方法
銀歯を白くする方法は、以下の4つです。
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- CAD/CAM冠
- セラミック
- コンポジットレジン
- レジン前装冠
それぞれ詳しく見ていきましょう。
CAD/CAM冠
CAD/CAM冠は、コンピューター制御でセラミックやプラスチックのブロックを削り出して作る、高精度な白い詰め物・被せ物です。保険診療では素材や使用部位に制限がありますが、自費であれば透明感のある素材や強度の高いジルコニア素材も選べます。
歯とのフィット感があり、金属を使わないためアレルギーの心配も少ないです。
保険適用のCAD/CAM冠では、主にセラミックやプラスチックを組み合わせたハイブリッドセラミックが使用され、自由診療のセラミックと比べると変色のしやすさや、強度が劣ります。見た目、機能、体へのやさしさを求める方は自由診療のCAD/CAM冠がおすすめの選択肢です。
セラミック
セラミックは、天然歯に近い自然な白さと透明感を持つ、見た目に優れた素材です。汚れや色素が付きにくく、長期間美しさを保てるのが特徴です。現在、CAD/CAM技術によって、より精密でスピーディーな加工が可能になっています。銀歯を目立たない白い歯にしたい方や、口元の美しさを重視する方におすすめな治療方法です。
コンポジットレジン
コンポジットレジンは、白いプラスチックを直接歯に詰めて固める、手軽な修復法です。保険適用で、1回の治療で完了するため、費用や時間を抑えたい方に向いています。
ただし、強度が低いため奥歯には不向きで、時間が経つと変色したり欠けたりしやすいです。長く安定して使いたいなら、より耐久性に優れた素材を選ぶのが安心です。
レジン前装冠
レジン前装冠は、金属の土台に白いプラスチックを貼った構造の被せ物で、前歯の治療に使われます。保険適用なため、治療費を安く済ませられるのがメリットです。
ただし、時間が経つと表面が黄ばみ、金属部分が透けて見える場合があります。見た目の自然さや金属アレルギーへの配慮を重視する場合は、金属を含まないセラミック素材への切り替えがおすすめです。
銀歯を白い被せ物や詰め物にする5つのメリット
白い被せ物・詰め物にするメリットは、以下の5つです。
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- 自然で美しい見た目になる
- 金属アレルギーの不安がなくなる
- 虫歯の再発を防ぎやすくなる
- 汚れや臭いがつきにくく衛生的になる
- 歯や歯茎が黒く変色しない(メタルタトゥー)
1つずつご紹介します。
自然で美しい見た目になる
銀歯を白い素材に変えると、金属のような黒っぽさがなくなり、口元が明るく見えるため、自然で美しい見た目に改善されます。また、セラミックやジルコニアは透明感が高く、周囲の歯とよくなじむため、治療跡が目立ちません。
審美性を重視する方は、白い被せ物や詰め物への交換がおすすめです。
金属アレルギーの不安がなくなる
銀歯をメタルフリー素材に変えると、金属アレルギーの心配が不要です。銀歯は唾液によって金属が少しずつ溶け出し、体内に吸収される場合があります。それが原因で、皮膚炎といった症状が出る人もいます。
金属を含まない素材にした場合、そうした心配が不要になるため、アレルギー体質の方や、将来の健康を考える方におすすめです。
虫歯の再発を防ぎやすくなる
銀歯を精密なセラミックやジルコニアに交換すると、虫歯の再発予防につながります。銀歯は経年劣化で歯との隙間ができやすく、その隙間に細菌が入り込み増殖すると、虫歯になる場合があるのです。
一方、セラミックやジルコニアは歯にぴったりとくっつき、隙間ができにくいため、細菌の侵入を防ぎ、詰め直しの頻度も減らせます。
メタルフリー素材の被せ物・詰め物は、歯の健康を長く守りたい方にとって、安心できる選択肢です。
汚れや臭いがつきにくく衛生的になる
白い素材に変えると、汚れや臭いが付きにくく衛生的です。銀歯の表面は微細な凸凹があり、そこに汚れがたまりやすくなります。セラミックは表面が滑らかで、汚れが付きにくい性質があるため、毎日の歯磨きで清潔な状態を保ちやすく、口臭の予防にも効果的です。
口腔内の環境を清潔に保ちたい方は、セラミックやジルコニアへの交換を検討しましょう。
歯や歯茎が黒く変色しない(メタルタトゥー)
銀歯を白い素材に変えると、歯や歯茎の黒ずみを防げます。銀歯から金属イオンが溶け出すと、歯茎に沈着して黒く見える場合があります。これを「メタルタトゥー」と呼び、簡単には取れません。
金属を使わない素材にした場合、変色リスクを避けられます。とくに見た目が気になる前歯まわりでは、白い詰め物や被せ物がおすすめです。
銀歯を白い被せ物・詰め物にする3つのデメリット
銀歯を白い被せ物・詰め物にするデメリットは、以下の3つです。
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- 歯を多めに削る
- 金属よりも強い衝撃で割れやすい
- 費用が高くなる
それぞれご紹介します。
歯を多めに削る
白い詰め物に変える場合、銀歯よりも歯を多めに削らなければなりません。とくにセラミック素材は、ある程度の厚みがないと強度が保てないため、健康な歯の部分も削る場合があります。削る量が増えると、歯がしみやすくなったり、将来的に強度が弱くなったりするリスクもあります。
治療前には、歯をどれだけ削るのかを歯科医師としっかり相談するのが大切です。
金属よりも強い衝撃で割れやすい
白い素材は金属よりも割れやすいといった特徴があります。硬さが十分にある白い素材もありますが、強い衝撃を受けたときに、パキッと割れてしまうリスクがあります。とくに歯ぎしりや食いしばりがある方は注意が必要です。
白い詰め物や被せ物の破損を防ぐためには、噛み合わせのバランス調整や、ナイトガードの使用を検討しましょう。
費用が高くなる
自由診療の白い詰め物へ交換する場合は、保険が使えないため費用が高くなります。被せ物・詰め物の種類によっても異なり、詰め物で約55,000円〜80,000円、被せ物では約60,000円〜130,000万円かかる場合も。
見た目や機能性が優れていても、経済的な負担がかかるため、事前に見積もりをしてもらい、納得したうえで治療を進めましょう。
まとめ
経年劣化した銀歯を外す行為にリスクはありません。ただし、銀歯を外す治療の際に、歯をさらに削る、痛みや知覚過敏が生じる、水銀の蒸気を吸い込むなどのリスクがあります。
銀歯を外すかどうかは、銀歯の状態やご自身が何を優先したいかで、銀歯を外す有無や被せ物・詰め物の種類が異なります。
見た目や健康を重視する方には白い素材への交換がおすすめですが、費用や治療の負担が気になる方は、再検討が必要です。
銀歯を外すかお悩みの方や銀歯の劣化が気になる方は、お気軽に歯科医師へご相談ください。
当院では、丁寧なカウンセリングで一人ひとりに合わせた審美治療をご提供しています。「歯を白くしたい」「被せ物